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POP-SITE音楽批評
ブルース・リー
『BRUCE LEE IN G.O.D.(死亡的遊戯)』

Pioneer PIBF-7210

ついに出たよー、『死亡遊戯』。『燃えよドラゴン』の監督ロバート・クローズが再びメガホンを取った1978年公開版じゃないよ。ブルース・リーが生前撮影した格闘シーンのフィルムを原案に従って再編集したオリジナル版とも言えるのが今回紹介するブツ。

アジア映画としては初のヨーロッパ・ロケを敢行した『ドラゴンへの道』が完成した後、リーは1972年夏に次回作『死亡的遊戯』の製作に取りかかる。そんな折り、アメリカでの俳優としての下積み時代にリーが経営していたカンフー道場の生徒だった、NBA選手で身長218cmのカーリム・アブドゥール・ジャバールが香港を訪れるということで、まずは格闘シーンの撮影から開始された。

リーの原案には諸説あるものの、日野康一氏によるリー関連の著書では、誘拐された子供を助けるために各階に名うての武道家がいる五重塔に乗り込み、各階の武道家をすべて倒して無事に子供を助けるというもの。今回のDVD添付の解説によれば、五重塔での格闘シーンはスト−リーの中盤に位置するものだったという。

リーの構想では各階に次のような武道家を配置した。なお1階と2階は撮影が行われず、3階以上の格闘シーンが撮影されている。

1階:黄仁植(北朝鮮の武道家:未撮影)
2階:ターキー木村(未撮影)
3階:ダニー・イノサント(リーにヌンチャクを伝授したと言われる)
4階:池漢載(韓国合気道の大御所)
5階:カーリム・アブドゥール・ジャバール(リーの弟子。NBA選手)

格闘シーン撮影後、ワーナーブラザーズ製作のハリウッド映画『燃えよドラゴン』に出演のため、『死亡的遊戯』の撮影は一時休止。『燃えよドラゴン』撮影後、『死亡的遊戯』再開のために行われたスタッフ会議に現れなかったリーは、愛人宅で意識不明の状態で発見される。そして1973年7月20日に永眠。

主演不在での撮影は不可能と思われたが、阪東妻三郎の映画でスタンドインなどを使って一本の映画に仕立てたのをヒントに、香港随一の映画会社ゴールデンハーベスト社のレイモンド・チョウ社長が『死亡的遊戯』を再開させた。これが1977年のこと。

1978年に公開された映画『死亡遊戯』は、ハリウッドのベテラン脇役俳優や全然似てないリーのソックリさんの起用、そして過去の映画からリーのシーンを借用したし前半のドラマ部と、後半のリーの格闘シーンで構成されている。前半のドラマ部はともかく、雑誌に掲載されていた格闘シーンのスチルで目にした、縦縞の入った黄色のジャンプスーツ姿のリーが遂に動き出したことにファンは歓喜したのだが。

しかし、NGを含めて120分撮影されたと言われる格闘シーンから、この『死亡遊戯』に使用されたのはわずか10数分。しかも、リーといっしょに五重塔での格闘に参戦した田俊と陳元のシーンがまったくない。まだあるだろ、という不満が残ったのも事実。

その後、各種伝記映画で未公開の格闘シーンの断片が公開されたり、さらにはマニア間では密かに未公開映像を収めたビデオなども流通したりと、『死亡的遊戯』伝説は続いていた。

そこで登場したのが2001年版『死亡的遊戯』。すでに劇場公開もされていたらしいが、DVDで7/25に店頭に並んだ。で、このDVD、ファンもようやく納得する内容に仕上がっている。ついに動き出した田俊や陳元のシーンだけでなく、各階の武道家たちとリーとの舌戦、さらにサングラスの奥に秘められたジャバールの驚愕の秘密や、ジャバール戦を終えた後の展開など、初公開映像をふんだんに使用して復元。凄い。また、全体的には1978年公開の『死亡遊戯』では『ドラゴンへの道』にもあったコミカルなテイストがことごとくオミットされているのがわかる。

しかし、ジャバールがいる最上階にはさらに上に続く階段がある。そこには何があったんだろう。これは永遠の秘密だろうなー。

(フィオナ林檎)


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