連載「エサ箱日誌」第30回のスタート!
8月某日
YMOのベスト盤「UC YMO」、オリコンチャートの上位に登場したけど、相変わらずコアなファンからは総スカンを食らってる。特に、歌詞や曲名において誤字だらけだったブックレットはついにSMEが回収して交換を行うことが決まった。当然の処置だけど、全然喜べないね。
おそらくSME社内には三度のメシより音楽が好きっていうのはいないんだろうね。今回のベスト盤制作だって、坂本龍一氏に丸投げだし。ブックレットやシャツだって外注でしょ。そういったパーツを束ねて販路に乗せ、そしてプロモーションをするだけがSMEの仕事と割り切ってるんだろうから、クオリティなんてどうでも良かったんだろうね。
8月に入ってすぐ、YMOと同様にアルファレコードからリリースされていた諸作がSMEからリリースされた。YMOファン注目は故・大村憲司氏の1980年制作『春がいっぱい』でしょ。今回は初回限定で紙ジャケでリリース。自分は当時リアルタイムでレコードを買ってたから、紙ジャケはいいやって思ってたんだけど、リリースから数日後に都内のいくつかのレコ店を覗いてみると店頭在庫がない。どうやらかなり売れてるようだ。のんきにAmazon.co.jpを確認したら在庫があるという記述があったんで、即日注文。しかしその数日後、「取り寄せ不可」とのメールが届いた。マジか、ヤバイ。そんなに売れまくってるのか。
こういう状況を目の当たりにしながら入手を諦めるというのも気持ちが悪いので、紙ジャケと言えばお馴染みの都内某店へ打診。その某店の別の店舗にあった数枚の在庫を、近くの店舗に取り寄せてもらった。
この『春がいっぱい』、発売当時からYMOファンを中心に隠れた人気があった。YMOがバックで演奏してるんだけど、彼らはバック・ミュージシャンに徹している。そのことに不満を言うファンは全然いなくって、純粋に曲と演奏が良いということが高い評価の理由だった。「いいものもある、だけどわるいものもある」っていうYMOのアルバム『増殖』のギャグじゃないけど、当時の中学生は今の中学生よりも、いろんなジャンルの音楽に接する機会が多かったから、音楽を正当に評価する耳をみんな持っていたように思う。友人が購入したのを聴かせてもらって数日も経たないうちに、親にせがんで買ってもらったのを思い出す。高橋幸宏氏の『サラヴァ!』もそういった経緯で入手したな。
今回のCD、デジタルリマスターは行われていないらしい。ジャケットやブックレットのどこにも注釈がないし。昨今のリマスターされた様々なアルバムと比較すると、音質的には可もなく不可もなくという感じ。レコードのプチプチという針音やレコードの内周に近づくにつれて音が歪むといったことがCDではないので、その点だけは買って良かったかなって思う。お近くのレコ店で見かけたら即入手のこと。
(文=フィオナ林檎)
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