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[No.0341] 2003/9/16
No.0340「連載「エサ箱日誌」第31回」へNo.0342「連載「エサ箱日誌」第32回」へ

モリサワジュンのコラム「Gamers, Be Ambitious」は引っ越しました。
http://d.hatena.ne.jp/morisawajun/
POP-SITEゲーム批評
ゲームの面白さと反比例。
任天堂ゲームCMの不甲斐なさを考える



(C)2003 Nintendo

それにつけても任天堂のCMである。CMばっかり面白くて肝心のゲームがつまんないというのもどうかと思うが、「面白さ」がアイデンティティであるはずの任天堂のゲームのCMが何でああつまんないんだろうか。私は任天堂が好きだから「つまんない」なんて言いたくないが、少なくとも「面白いCM」でないことだけは確かだと思う。

見てない人のために説明すると、「ファミレスの席で陣取っている3人の若者が、ゲームキューブで今後登場するRPGのタイトルを口々に言い合い、おもむろに『……RPG、多くねェ?』→ゲーム画面紹介→画面に『そろそろ』の文字」というのがそのCMである。何となく「笑わせよう」としている感じが伝わってくるが、面白くない。最後に「そろそろ」って文字が出てくるということは、「RPGが多いゲームキューブはそろそろ買いどき」ってことなんだろうけど、「RPGが多いことがゲーム機を購入するモチベーションになる」っていう国民的なコンセンサスっていまだに実在するんだろうか。「RPGが皆無だったからメガドライブはスーファミに負けた」「良質なRPGが少ないからニンテンドウ64は売れなかった」という理屈は当時なら「あり」だったと思うんだけど。

とにかくゲームのテレビCMはソニーの一強皆弱状態である。映像作品としての質がどうとか、CMがセールスにどの程度貢献したとかは知らないけど、素人目に見てもソニーのゲームCMは任天堂やセガよりもずっと面白いし、それが購買行動の動機になりうるようにすら感じられる。それがたとえつまらないゲームだとしても。


(C)2003 Nintendo
今夏のプレステ2の販促CMは、「子供のためにプレステ2を買った田舎のおじさん」や「夏休みは親にプレステ2を買ってもらう!と自慢する子供」が登場していた。そこにはいわゆる市井の庶民とその生活が丹念に描かれていて、マンガで言うところの「キャラが立ってる」感じが成立している。だからこそ消費者が共感できる面白さが生まれるのではないだろうか。

リテラシーが向上して消費者がテレビの言うことに耳を貸さなくなくなった、なんてのは真っ赤なウソだと思う。さすがに額面通りに受け取ったりはしないが、「その商品は自分の生活にどういう風に関わるのか」という提案を我々消費者は待っているのではないかと思う。ソニーのCMはそこが達者だ。かつてのゲームCMにおいて有効だった「面白いんだから買え!」という言葉も、21世紀の現在においては力を失っているように感じる。それは「RPGが多いから買え!」でも一緒だし、「つぶより!」でも一緒である。「つぶより!」は昨秋の任天堂のキャンペーンのキーワードだが、自分で自分のゲームを「つぶより」って言っちゃうのはどうなんだろうか。言いたい気持ちは分かるけど、つぶよりかどうかを決めるのは消費者だと思う。


(C)2002
Sony Computer Entertainment Inc.
私が好きだったのは『ドラゴンクエスト』の7作目と8作目のCMである。「ソニーが任天堂からドラクエを奪ったからプレステ買ってね」というプロパガンダの臭いを、日本人の生活感あふれるあざといまでの修飾で脱臭するその巧みさ。特に8作目がプレステ2で出ることを告知するCMはすごい。大量の素っ裸のじいさんたちが銭湯であのテーマ曲を口ずさみながら「(発売されるまでは)長生きするぞ!」と声をあげる。ドラクエは開発期間が長いというコンセンサスあってのギャグなんだけど、あれは本当に笑っちゃった。寿命ネタとかじいさんの股間とか、いろんな意味でギリギリだったと思う。

で、任天堂CMの話だけど。あのCMに出てくるフリーターみたいな若者たちが昼間っからRPGの話題で盛り上がっているということは、彼らが「RPG大好き」でしかも「ヒマ」な人たちであることを意味している。つまり、このCMにおける訴求対象はそういう人たち、つまり「RPGが好きで時間が有り余っている人」である。それってかなりコアな層なのではないだろうか。少なくともマスではないと思うし、下手するとすでにゲームキューブ持ってる可能性も高そうである。ニッチを攻めることには何の異論もないけど、任天堂がそれをやるってのはいかがなものだろうか。せっかく面白いゲームがいっぱい揃ってるんだから、任天堂にはもっと面白いCMでもっとマスを狙ってほしい。今回はこれが一番言いたかった。

(モリサワジュン)



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