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また任天堂の思い出商売である。20年前のファミコンソフトの完全移植版を「ファミコンミニ」として10本も同時にGBAでリリース。しかも「ゲームボーイアドバンスSP ファミコンカラー」も同時発売である。これがまたけっこう売れているという。需要あるところに供給、というのは経済の流れとして正しいし、人の思い出に文句をつけるつもりはさらさらないが、でもなあ。何か、ディナーショーで昔のヒット曲をメドレーで歌う松田聖子に似ている。しかも新曲を歌っても客のリアクションが悪かったりして。 で、今回発売となった「ファミコンミニ」は以下の10本である。オリジナル版の発売日・価格および私のおすすめ度(5段階)とともに列挙してみた。 ドンキーコング(★★★)■任天堂■1983年7月15日発売■4500円 パックマン(★★★)■ナムコ■1984年11月2日発売■4500円 ゼビウス(★★★★★)■任天堂■1984年11月8日発売■4900円 マッピー(★★★★)■ナムコ■1984年11月14日発売■4500円 エキサイトバイク(★★★★)■任天堂■1984年11月30日発売■5500円 アイスクライマー(★★★)■任天堂■1985年1月30日発売■4500円 スーパーマリオブラザーズ(★★★★★)■任天堂■1985年9月13日発売■4900円 ボンバーマン(★★★★)■ハドソン■1985年12月19日発売■4900円 ゼルダの伝説1(★★★★★)■任天堂■1986年2月21日発売■2600円(ディスク版) スターソルジャー(★★★)■ハドソン■1986年6月13日発売■4900円ファミコン世代の最大公約数かと思いきや意外とそうでもないような気もする、結構微妙なラインナップである。『ゼビウス』が入ってるから『グラディウス』が落選したんだろうかとか、ナムコがちょっと多すぎやしないかとか、キャラバンやら高橋名人やら『スターフォース』(テクモのシューティングゲームで、ファミコン版はハドソンが移植。『スターソルジャー』の前身に見えるが「正式な前作」ではない)との微妙な関係といったコテコテの<意味>ばかりを背負ってる『スターソルジャー』はちょっと異質に見えるなあとか(私にはそう見えた)、ついいちゃもんをつけたくなる面子であるといえる。まあ、どんな10本を選んでも誰かが別のいちゃもんをつけるんだろうが。次期のリリースに期待したいところではある。 今回のファミコンミニ全てに共通していることだが、とにかく「ファミコン版の完全再現」が徹底されていることにまず気づく。ゲームの内容は当然として、パッケージもファミコン版発売当時の紙箱の縮尺版(まさに最近の紙ジャケCDと同じ)をわざわざ作っているんである。また、この手のリバイバルゲームでありがちな「1本に4タイトル入り」「アレンジバージョン収録」といったことも一切なし。1つのROMカートリッジに1本のゲームしか入ってないし、アレンジもほぼ一切なし。「当時のパッケージを完全に再現する」というサービスに徹している。これは実に的を射た仕様だと思うんである。ゲームの中身の再現に関してちょっと驚いたのは、強制的な画面比率の変更である。ファミコンの解像度は256×240ドットだったが、それに対してGBAの解像度は240×160ドットしかない。横はともかく縦が80ドットも足りないし、そもそも1ドットあたりの比率も異なるわけである(ファミコンのドットは横に長いが、GBAのドットは正方形)。そこで、今回のファミコンミニでは8×8ドットのフォントを8×6ドットに、16×16ドットのキャラクタやパターンを16×12ドットに描き換えることにより、ファミコン版とかなり似た雰囲気を再現することに成功している。グラフィックの縦方向を力技で75%縮小し、実質的にGBAの画面を240×240ドット相当にしているわけである。PCエンジンの『R-TYPE』のように「縦スクロールによって足りない解像度を補う」という方法もあったはずだけど、横に間延びしたグラフィックがファミコンの特徴でもあったわけで、このドット間引きは正しい選択だったと思われる。 ただ、ドットを間引いていることにより多少「なんか画面が粗いな」と思うこともなくはない。それと、たとえば『ゼルダの伝説1』では背景やフォントが前述の「縦75%縮小処理」されているが、スプライト(キャラクタ)は縮小せずにそのまま表示しているため、ちょっと違和感がある。横長だった半魚人の顔がやけに縦長に見えたりして。 移植度は高い。ファミコン版とほとんど同じである。グラフィックはもとより、操作感も本当にそっくりだ。ちょっとノイズの音が違うような気がするが、三角波や矩形波の音もすごくよく似ていると思う。ROM版の移植なので、『ゼルダの伝説』のディスクシステム版のFM音源がカットされてるのが残念だけど。 ただ、最近のファミコン再評価ムーブメント(ってほどでもないが)は、明らかに水増し評価の上に成り立っているように思う。「最近のゲーム不況はゲームの複雑化が原因」「昔のシンプルなゲームのほうが正しい」といったスローガンありきで有り難がっているように見える。最近のゲームだろうと昔のだろうと、面白いゲームは面白いしクソゲーはクソゲーであることに変わりはないのに。今の複雑なゲームも昔のシンプルなゲームも相対化して楽しむことができれば、それに越したことはないのではなかろうか。でも、少なくとも今回のファミコンミニはほぼすべて「優れた古典」と言える顔ぶれが揃っており、どれを買っても非常に楽しめるのではないかと思われる。とはいえ、当時を知らない人であれば『マリオ』『ゼルダ』『ゼビウス』あたりが無難だろうか。ゲーム本体とは関係ないけど、今回はCMが面白かった。以前の任天堂のゲームキューブRPG連発キャンペーンCMの不甲斐なさが嘘のようである。CMでは「市井の社会人たち」が「普通」のロケーション(地下鉄の駅ホーム、コインランドリー、風呂上がりなど)で、ゼビウスやマリオをひたすら無言でプレイしており、音楽はファミコンのPSGサウンドである。うまい。ファミコン時代のゲームがいかに記号的であったかを思い知らされるCMでもあった。こんなシンプルな内容のCMでも伝わる人には伝わるもんなー、いろんな<意味>が。 で、最後にこれだけは言っときたいんだが。ちゃんと生産してから発売してくれ。全然買えないよ。テレビに大量出稿までしてるくせに、うちの近所じゃどこに行っても買えない。これも含めてファミコン時代の完全再現か? と、ちょっとオヤジっぽくまとめてみた。 (モリサワジュン)
(C) 2004 Nintendo
【関連リンク】●ファミコンミニ関連商品一覧(amazon.co.jp) ●任天堂『ファミコンミニ』公式サイト | ||||||
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