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POP-SITE音楽批評
円谷プロダクション
『怪奇大作戦』



ビクターエンタテインメント


連載「エサ箱日誌」第45回のスタート!

2月某日
1967年の『ウルトラセブン』の後に制作され、円谷プロの数ある作品の中でもカルト的な人気の高い「怪奇大作戦」が遂にDVDでリリースとなった。

円谷プロのお家芸と言えば「変身モノ」だけど、この作品は「S.R.I.」という組織が怪事件を科学的に解明していくというストーリーで、荒唐無稽な展開もなくはないが、当時の社会背景を反映した大人向けの社会派ドラマである。

一応は勝呂誉が主演という設定だけど、岸田森の圧倒的な存在感がこの作品をより魅力的なものにしている。日本列島の再開発が進み、先進的な国家へ生まれ変わろうとしていた時代のドラマであるが、この当時でもいまだに「戦後」の影が色濃く残っているのが何とも印象的である。しかし誤解を承知であえて書くが、精神異常者による犯罪を扱ったストーリーも多く、そのインパクトは非常に強烈である。

今回のDVD化、正直に言うと2003年にスカパーで衝撃的な再放送が実現した時ほどの感激はなかったし、画像もデジタルリマスタリングによってかなり鮮明になったものの、『ウルトラセブン』の時ほど、そのクオリティに圧倒されることはなかった。さらに先のスカパーで精神異常者による犯罪を扱ったスト−リーとして最も秀逸な第24話『狂鬼人間』が放送されなかったことから、今回のDVD化でもおそらくリリースは見送られることになるのだろう。

この『怪奇大作戦』、1980年代にビデオで発売された時には『狂鬼人間』が収録されていて、古くから営業しているレンタルビデオショップにひっそりと置かれていることが稀にある。しかし、1990年代だったか、『怪奇大作戦』の全話がレーザーディスクでリリースされた時に、この『狂鬼人間』が収録されたことが直接的な理由かは不明だけど、店頭から即日回収されるという事件が起こっている。それ以来、この『狂鬼人間』は完全に封印されてしまい、今後も日の目をみることはないと思われる。なお、2001年に発売された『怪奇大作戦大全』というマニア本にも、この『狂鬼人間』のことが一切触れられておらず、無かったことにしたいという意図が明確に感じられる。

気になる『狂鬼人間』のストーリーはこうだ。

男女間の怨恨が動機と思われる殺人事件が発生。ところが事件当時、この事件の容疑者が心身喪失状態にあったことで無罪となってしまう。しかし、この事件には裏があることを「S.R.I.」が突き止めて捜査を進めていくと、「狂わせ屋」という家業を密かに営んでいる女性にたどり着く。そして、この女性が以前、心身喪失状態にあった精神異常者によって家族を皆殺しにされるという不幸な過去を背負っていることが判明。さらに、人間を一時的に心身喪失状態にする装置をこの女性が開発して精神異常者を社会に送り込み、自分と同じ境遇の人間を増やすことによって、家族を皆殺しにした加害者を無罪にした社会に復讐しようとしていたのである。先の事件にも関与していることがわかり、遂に女性の正体を暴いた「S.R.I.」だったが、あと一歩のところで女性の術中にはまり、装置に送り込まれて心身喪失状態にされてしまう。

被害者よりも加害者に偏重した日本の法制度への矛盾を突いた力作ながらも、「精神異常者=犯罪者」との誤解を与えかねないとの判断からか、現在は自主規制という名の下に、前述の通り完全に封印されている。非常に残念としか言いようがない。

本作品を観るためには古くから営業しているレンタルビデオ店をチェックするか、以前発売されたビデオソフトやレーザーディスクを入手するしかないが、世の中を賑わしているインターネットを利用したファイル交換ソフトなどでも密かに流通しているようだ。


(文=フィオナ林檎)


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