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ナムコ、「ゲーム性中心主義」に回帰
PS2『塊魂』




■ナムコ■PS2■2004年3月18日発売■ロマンチックアクション■4,500円(税別)■1〜2人用■★★★★★


ゲーム会社というのはあくまでも集団組織である。しかし、映画会社やテレビ局よりも「作家性」のようなものを期待されることが多い。任天堂やナムコやカプコンといったメジャーですら、あたかも一個人作家みたいに扱われることも珍しくないのである。おかしな話だが、映画やテレビに比べてゲームの歴史がまだ浅いことと関係しているのかもしれない。

そして、その最たる例がナムコである。ナムコの“作風”が転変するたびに世間(というほど広いかどうかは知らないけど)は一喜一憂してきたように思う。その「一喜一憂」は、論壇・言論の世界に行ってしまった小林よしのり(本人は行ってないと言っているけど)に「物語の世界に戻ってくれ」と読者や批評家が懇願したり、「キッズ・リターン」に落胆した北野武ファンが「HANA-BI」での表現主義の完成ぶりに歓喜したり、といった心理とよく似ている。

それでは、世間がイメージしているナムコ像とは何だろうか。諸説があるとは思うが、大まかに言うと『ドラゴンスピリット』よりも前、特に『パックマン』や『ディグダグ』や『マッピー』が現役だった時代のナムコということになるのではないかと思う。誤解を恐れずに言えば、「ゲーム性中心主義」、つまり「すべての芸術的要素が“ゲーム性”に従属している」時代だった、ということである。

ビデオゲームは総合芸術であるといわれる。確かに、美術性や文学性や音楽性などの様々な芸術的要素の組み合わせによってビデオゲームは成り立っている。そして、そこに「ゲーム性」というつかみ所のない要素が存在することが(特に映画に対する)ビデオゲームの独自性を際立たせているのである。

そして、今回の『塊魂』は「すべての芸術的要素が“画期的なゲーム性”に従属している」ゲームである。あえて言うと「原点回帰を果たした作品」であり、なおかつナムコがこの20年に経験した様々な矛盾する事象・要素を止揚して新たな次元に進むことに成功した作品であると思う。

「すべての芸術的要素が“ゲーム性”に従属している」というのは、「ゲーム性のためにすべてが犠牲になっている」ということではない。ゲームの核にゲーム性が据えられており、グラフィックや世界観や音楽や物語は、すべてゲーム性に準ずる形で作り上げられている、ということである。

本作品における「画期的なゲーム性」とは、「小さな塊を転がしてマップ上の物体を巻き込み、大きな塊にしていく」という、高度な技術によって実現された斬新なものである。塊を大きくすると、それまで巻き込めなかった物が巻き込めるようになったり、段差を越えて新しい場所に進むことができるようになっており、このルールに従ってゲームは展開していく。

この独自のゲーム性は、世界観やアートワークやキャラクタ、そして音楽をも統率している。宇宙の王様が酔った勢いで星空を破壊して暗闇にしてしまったため、その息子(=プレイヤー)が塊を作って星空に浮かべるため地球に派遣される、というのがこのゲームのストーリーである。不条理かつ無意味かつ無茶苦茶であり、このゲーム性と実にマッチしている。ゲーム中のグラフィックは、ややフラットなシェーディングと淡い色調により構成され、適度に写実的だがそれほどリアリズムを追求しておらず、このゲームにおける根本的な不条理性をうまく表現している。音楽面においても、「塊」および世界観をテーマにした楽曲で見事に統一されている。

ゲームとしてはやや単調な感もあるが、「塊を転がして大きくする」という要素に麻薬性・中毒性があり、繰り返し遊んでも楽しい。また、「茶の間」から始まって「家とその庭」「町内」と視点を変えて展開していくステージ構成も秀逸である。そして、その視点はインフレーション的に上昇してゆく。最後に登場するとんでもない規模のステージは必見である。本道のステージ攻略以外にも、隠しアイテムやフィーチャー等も豊富に盛り込まれており、長く楽しむことができそうである。

大傑作『もじぴったん』をプレイした時にも思ったことだが、「ゲーム性」を核とした諸要素の見事なまでの統一性に、私はナムコの「原点回帰」を感じた。今やそれがゲームの優劣を決定するものでないことは承知しているが、かつて学校帰りに『ディグダグ』や『ゼビウス』で遊んでいた頃のナムコが好きだった私にとっては、とても嬉しいことであった。同じ思いを持つ人なら、きっと楽しめる作品ではないだろうか。今後もナムコにはゲーム性中心主義路線をぜひ継続して欲しいと思う。

(モリサワジュン)

(C)2003 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED

【関連リンク】

●【15%OFF!】PS2『塊魂』(amazon.co.jp)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001GQ8KO/popsite-22

●ナムコ『塊魂』公式サイト
http://www.namco-ch.net/katamari_damacy/index.php

●期間限定サイト「塊魂 オンザウェブ」
http://www.katamaridamacy.jp/



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