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モリサワジュンのコラム「Gamers, Be Ambitious」は引っ越しました。
http://d.hatena.ne.jp/morisawajun/
POP-SITEゲーム批評
ソニーPSPと任天堂DS
発表から半月経って思うこと






こんにちは、モリサワジュンです。今ごろみんな『バイスシティ』に忙しくてこんなとこ誰も読んでないのかもしれないが、それでもあえて書くよ私は。しかしすごいな、Nintendo DSのデザインは。とにかく今回の一連の報道で一番驚いたのは、DSのデザインのものすごさである。大量生産する商品をあのデザインに決定するということは、ある意味でPSPをデザインすることよりも困難かつ野心的であろう。同じ任天堂によるGBAやSPのデザインの「悪くなさ」を考えると、このDSのデザインはどう考えても意図的としか思えない。「性能だけを見てほしいからあえて筐体のデザインを無頓着に仕上げた」というポストモダン的な試みであろうか。それともあれが本当に任天堂の限界なのか。いずれにせよ「とほほ」であろう。モックアップであることを祈るばかりである。

携帯ゲーム機の超大物物件、ソニーのPSPと任天堂のNintendo DSが同日に発表となってから2週間が経った。「ガジェットとしてカッコよくて超高性能だけど焼き直しゲームばっかりのPSP」と「外見がダサくて性能も今ひとつだけどおかしな機能が付いているDS」という、どっちも一勝一敗みたいな評価で世間は落ち着いたように思う。

私は任天堂のDSを支持する。PSPで出るであろう『グランド・セフト・オート4』や『グラディウスV モバイル』(勝手に出ると決めているわけだが)は確かに楽しみだけれども、それはPS2で遊べればいい。SCEIの久夛良木氏も「PSPは家の中で遊ぶことを想定してる」って言ってたし。PSPのスペックを見ても、「PSPならでは」っていうゲームにはあんまり期待できなさそう。斬新で画期的なインターフェース(2枚の画面、タッチパネルなど)を持つDSのゲームが、かつてなかった驚きの体験をもたらしてくれることを期待する私である。リリースを引き写したような文章を書いてしまいました。すいません。

しかし、本当にDSのゲームで「かつてなかった驚きの体験」ができるかどうか、正直言って私は疑っている。それは、DSのグラフィックのスペックが「古い」からである。私が言いたいのは「PSPより劣っている」とかいう話ではなく、プレイステーション以降の「ポリゴン」というテーゼを何の批判もなくそのまま取り入れている、ということである。

誰かがビデオゲームを「操作することで画面が反応する遊び」と定義していたが、今回のDSは「操作すること」はともかく「画面が反応する」部分が進歩していないと思う。「2画面」が任天堂の回答なのかもしれないが、ニンテンドウ64並みのグラフィックが2画面表示されても不十分であるように感じる。たとえPS2やPSP並みだとしても同じである。ファミコン時代のスプライトがプレイステーション以降ポリゴンに取って代わられたように、もっと別のグラフィック表現技術がDSによって提案されるんじゃないかと期待していただけに、かなり残念である。まあ、バーチャルボーイみたいに冒険しすぎて失敗するよりはマシなんだけど。

と、DSのことばかり書いているわけだが、それはPSPが私にとって「当事者」になれそうにないと感じられる物件だからである。軽くてカッコいいガジェットで、PS2並みのゲームが持ち歩けて、映画が見られて、音楽も聴けて、という非常に通りのいい要素が箇条書きにできるPSPだが、なんか絵空事というか、代理店がクライアントに配る企画書そのものみたいに思える。PSPと企業とコンテンツがあるけどユーザーが見えない、という感じがする。少なくともこんなユーザーいないよな。

E3のPSP発表会の時にPSPでデモっていた「スパイダーマン2」の予告とかアーティストのPVって、両方「広告」だろう。これらが機能デモだということを差し引いて考えても、ユーザーを「映画や音楽に興味のあるマーケット」としてしか見てないというのがSCEの本音じゃないのか。だとしたら、ソニーはPSPをはなっから広告媒体として考えているんじゃないのか。「PSPが映画本編や音楽ソフトのメインプラットフォームになれるかどうかは怪しいが、広告としての予告編やPVをUMDで配布するなら実現可能」って。ださ。そこまで言いなりに消費行動を取ってくれるほど世間は寛容なのか。

それと、「ゲームも映画も音楽も再生可能な21世紀の新しいコンテンツプラットフォーム」って言うけど、光ディスク媒体にコンテンツを入れて売るっていう発想がモロ20世紀な感じ。CCCDやWinnyが社会の関心事になっている昨今、PSPがコンテンツの流通と課金に画期的な革命を起こせばカッコよかったのになあと思う。インターフェースにおける革新性を持つDSと対になって、両者の立場の違いがより鮮明になったはずである。ソニーにはかなり難しいのかもしれないけど。生UMDに自分でエンコードした番組や音楽を入れてPSPで持ち歩けたら最高だけど、ビジネスモデルが崩れるから不可能なんだろうな。せめてソニーのDVDソフトやCDソフトには同じ内容のUMDを同梱してほしいっす。絶対。

もしPSPが「持ち歩けて無線LANでつながるPS2」だとしたら、PSPのゲームはあんまり欲しくないなあと思う。任天堂の宮本茂氏が、ファミコンのことを「財力にモノを言わせてもムダで、ゲームデザイナーのアイディア競争が面白かったゲーム機」と言ってたが、私はそういうゲームで遊びたい。DSはまさにそういうゲーム機だと思う。PSPってやっぱり財力にモノを言わせたゲームばっかりになりそうな気がする。

もし「PS2はゲームキューブに勝った」というのと同じ意味であれば、私はPSPが勝つだろうと思う。ソフトを売る側から見れば、明らかにDSは商売としておいしくない。PSPならPS2・XBOX・PSP版という展開ができそうだが、DSの場合は「DSらしいゲーム」にすればするほど他機種移植が難しくなっていくという構造になっているわけである。「ゲームしかできないゲーム機」というのも、商売人から見ても一般ユーザーから見てもデメリットになりそうな気がする。

だけど、そういう勝ち負けは消費者にとっては別にどうでもいいことである。他に適当な言い回しが見つからないのであえて言うと、任天堂は「ワン・アンド・オンリー」であってくれさえすれば私は十分である。そもそもPSPとDSの関係を「携帯ゲーム機戦争」とすること自体に無理がある。両者は何から何まで違いすぎる。私は以前ここで「任天堂は、みんながマラソンやってるのに一人だけ競技場を抜け出して卓球を始めてしまった」というようなことを書いた。任天堂は、ある時期を境にある場所から「降りた」。DSでそれがより顕著になったと思う。

PSPの筐体デザインと性能で液晶が2画面あってタッチパネルが付いてて、グラツー4もマリオもプレイできれば私にとっちゃベストなんだけど、そんなうまい話はないわけである。そこがこの世界の面白いところではあるんだけど。……とか言ってたら「次世代ゲームボーイ」だって。とほほー。2006年か。やっぱり次のゲームボーイまでのつなぎなのね、DS。エボリューショーン!

(モリサワジュン)


【関連リンク】

●任天堂 Nintendo DS リリース情報
http://www.nintendo.co.jp/n10/e3/index.html

●ソニー・コンピュータエンタテインメント プレイステーション・ポータブル リリース情報
http://www.playstation.jp/news/pr_040512_psp.html



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