3月某日 最近は、ラジカセやオーディオセットを前に、じっくりと音楽を聴くことがなくなったせいか、CDを買う機会がめっきり減ってしまった。 リスニング環境は通勤中のiPod miniに完全にシフト。となると、音楽CDを買うなり借りるなりして、iTunesを使ってmp3フォーマットで一旦PCに取り込んでおき、必要な曲をチョイスしてiPod miniに転送。でもさ、iPod miniで音楽を聴くのに、そんな長いステップを踏むなんて、もうかったるくてやってられない。 あんまり大きな声ではいえないけど、bittorrentファイルと専用クライアントソフトさえあれば、mp3フォーマットの音楽ファイルが簡単に入手できる。bittorrentファイルは海外の掲示板にアップされてるし、bittorrentファイル専用の検索エンジンもある。まあ、入手方法はどうであれ、とにかくbittorrentファイルをダウンロードしてくるだけで、夢のようなコレクションがPCのハードディスクを占有していく。WinnyやWinMXなど、もう過去の遺物だね。 そんなある日のこと、キング・クリムゾンのとんでもないCDがリリースされたとの情報を聞きつけた。 彼らの有名な1stアルバム『In the Court of the Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)』って、マスターテープがずいぶん前に行方不明になってしまっていて、世界中にちらばっているマスターテープのコピーから状態の良いものを選び出し、最新のテクノロジーを駆使して蘇生させたもの。「マスターテープのコピー」ってことは、簡単に言えばテープからテープにダビングしたもの。当然、音質は劣化する。 ところが最近になって、倉庫からマスターテープに極めて近いと思われるテープが発見されたらしく、それを使用したCDというのが、前述の「とんでもないCD」の正体ってワケ。 久々にワクワクするようなブツがリリースされるっていうんで、銀座にある某大手輸入CD店に出向いた。「キング・クリムゾン」のコーナーにまっしぐらに進んでいったんだけど、残念ながら目当ての商品がなかった。何ヵ月も前にリリースされた紙ジャケCDが雑然と置いてある。 そして、ふと、冷静に店内を見回してみると、何だか店全体に活気がない。崩壊寸前だった頃の「WAVE」もこんな感じだった。音楽業界の低迷って数字だけのことかと思いきや、こうして目に見えるところにまで影響が及んできているんだね。結局、その日は手ぶらで帰宅。お決まりの「Amazon.co.jp」で検索したら、一発ヒット。即オーダーしたら、2日後に到着した。 チープなラジカセで聴いてみたけど音質の差は歴然。RhinoレコードのBill Inglot氏が、リマスターの極意として「良質のマスターテープを入手すること」と言ってたけど、まさにその通りだね。絶対買いです。(文=フィオナ林檎) ●キング・クリムゾンのCDをAmazon.co.jpで購入する In the Court of the Crimson King※アメリカ盤 ●キング・クリムゾンのCDをAmazon.co.jpで購入する The 21st Century Guide to King Crimson, Vol. 1※アメリカ盤