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POP-SITE音楽批評
キング・クリムゾン
『クリムゾン・キングの宮殿』



連載「エサ箱日誌」第66回のスタート!

3月某日
最近は、ラジカセやオーディオセットを前に、じっくりと音楽を聴くことがなくなったせいか、CDを買う機会がめっきり減ってしまった。

リスニング環境は通勤中のiPod miniに完全にシフト。となると、音楽CDを買うなり借りるなりして、iTunesを使ってmp3フォーマットで一旦PCに取り込んでおき、必要な曲をチョイスしてiPod miniに転送。でもさ、iPod miniで音楽を聴くのに、そんな長いステップを踏むなんて、もうかったるくてやってられない。

あんまり大きな声ではいえないけど、bittorrentファイルと専用クライアントソフトさえあれば、mp3フォーマットの音楽ファイルが簡単に入手できる。bittorrentファイルは海外の掲示板にアップされてるし、bittorrentファイル専用の検索エンジンもある。まあ、入手方法はどうであれ、とにかくbittorrentファイルをダウンロードしてくるだけで、夢のようなコレクションがPCのハードディスクを占有していく。WinnyやWinMXなど、もう過去の遺物だね。

そんなある日のこと、キング・クリムゾンのとんでもないCDがリリースされたとの情報を聞きつけた。

彼らの有名な1stアルバム『In the Court of the Crimson King(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)』って、マスターテープがずいぶん前に行方不明になってしまっていて、世界中にちらばっているマスターテープのコピーから状態の良いものを選び出し、最新のテクノロジーを駆使して蘇生させたもの。「マスターテープのコピー」ってことは、簡単に言えばテープからテープにダビングしたもの。当然、音質は劣化する。

ところが最近になって、倉庫からマスターテープに極めて近いと思われるテープが発見されたらしく、それを使用したCDというのが、前述の「とんでもないCD」の正体ってワケ。

久々にワクワクするようなブツがリリースされるっていうんで、銀座にある某大手輸入CD店に出向いた。「キング・クリムゾン」のコーナーにまっしぐらに進んでいったんだけど、残念ながら目当ての商品がなかった。何ヵ月も前にリリースされた紙ジャケCDが雑然と置いてある。

そして、ふと、冷静に店内を見回してみると、何だか店全体に活気がない。崩壊寸前だった頃の「WAVE」もこんな感じだった。音楽業界の低迷って数字だけのことかと思いきや、こうして目に見えるところにまで影響が及んできているんだね。結局、その日は手ぶらで帰宅。お決まりの「Amazon.co.jp」で検索したら、一発ヒット。即オーダーしたら、2日後に到着した。

チープなラジカセで聴いてみたけど音質の差は歴然。RhinoレコードのBill Inglot氏が、リマスターの極意として「良質のマスターテープを入手すること」と言ってたけど、まさにその通りだね。絶対買いです。

(文=フィオナ林檎)


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In the Court of the Crimson King※アメリカ盤

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