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もう2005年も3ヵ月が過ぎてしまった。しかし私は去年の11月に発売されたゲームについて書きたい。 それは、GBAの『ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー』である。 私は原作の「ドラゴンボール」が好きで、ビデオゲーム化された数々の作品も好きである。しかし、この20年近くの間ずっと「少年時代の孫悟空が主人公のアクションゲーム」という存在が心の奥にわだかまっていたのであった。 一連のゲーム版「ドラゴンボール」シリーズには非常によくできた傑作が多いが、1986年にスーパーカセットビジョンとファミコンで初めてゲーム化されて以来、その9割以上は「ドラゴンボール」というよりも、アニメ「ドラゴンボール Z」がゲーム化の対象となっていた。 いわゆる「Z戦士」たちがどつきあったり死んだり生き返ったり、髪が金髪になったり合体したり分裂したり、という内容の「ドラゴンボール Z」があまりにもビデオゲームと相性がよかったせいか、「7つのドラゴンボールをめぐる奇想天外で痛快な少年悟空の大冒険」を描いた初期の「ドラゴンボール」がゲーム化されることは滅多になかったのである。 確かに、少年時代の悟空が主人公のゲームは過去に数本が存在するのだが、ほとんどはボードゲーム的な非アクション型のゲームばかりである。私はそんなものに興味はなかった。この20年間、「少年の悟空が主人公で、あの愉快で大らかなストーリーを追体験しつつ、格闘やかめはめ波でわるものどもを倒しながらドラゴンボールを集めていくアクションゲーム」が一体いつ発売になるのか、と私は心の奥底でずっと期待していたのである。これが冒頭の「心の奥のわだかまり」その1だ。 いや、実はそういうアクションゲームはすでにあったのである。それが、初めてゲーム化された「ドラゴンボール」の一つである、1986年のファミコン版『ドラゴンボール 神龍の謎』であった。しかし、とてつもなくつまらなかったんだこれがまた。「心の奥のわだかまり」その2が、この永遠の駄作の存在なのである。この作品がトラウマとなって、未だに版権ゲームに対する拒否反応から逃れられない人も多いと聞く。うそ。聞いたことはない。 今となってはすさまじくつまらなかったこと以外はろくに覚えていないわけであるが、この画面を見てその底なしのつまらなさを想像していただきたい。「クソゲー」などという簡単な言葉では形容しがたい業の深さ。今だから言うけど、1980年代中頃ぐらいまでの版権ゲームは、「キャラクタで金儲けする」という目的がすべてにおいて優先されるという意味で、中国のコピー業者がやってることとそう大差はなかったのではないかとすら私は思う。 この後バンダイの「ドラゴンボール」シリーズは格段にクオリティを向上させていく。ファミコンの「ボードゲーム風RPG」からスーパーファミコンの「2D対戦格闘ゲーム」の流れを経て、2003年の3D対戦格闘ゲーム『ドラゴンボールZ』シリーズが現在の主流となっている。以前ここでも書いたことがあるが、これが非常に素晴らしい。「アニメの『ドラゴンボールZ』がこんなゲームになったらいいなあ」という世間の理想がそのまんま形になっているとさえ思える出来映えである。 私の記憶に間違いがなければ、あの驚異の駄作『ドラゴンボール 神龍の謎』が最初で最後の「少年時代の悟空が主人公のアクションゲーム」であった。あれからもう20年が経ち、しかも3D版『ドラゴンボールZ』が圧倒的な人気である。もはや子供の悟空を操作して戦うアクションゲームを必要としている人なんていないのだろうか、と私は漠然と感じていた。 前置きが長くなりましたが、そんな昨今、突如としてリリースされたのが今回の『ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー』(以下『アドバンスアドベンチャー』)であった。不覚にも私は最近までこの作品の存在を知らなかったのであるが、先頃ようやくプレイすることができた。最初に言ってしまうと、本当にいいゲームである。万人におすすめできる秀作であると思う。 『アドバンスアドベンチャー』は、PS2などで主流の格闘ゲームではなく、横スクロールのアクションゲームである。コミックス1巻でブルマと出会うところから、14巻のピッコロ大魔王との戦いの決着までのストーリーが収録されている。ゲームの主な部分は、PCエンジンの『ソンソンII』あたりを思わせるオーソドックスなアクションゲームである。天下一武道会のシーンやボス格の敵との戦いでは、独自の対戦格闘モード「タイマンバトル」に切り替わり、一対一の戦いとなる。 ドット絵によるグラフィックは、キャラクタも背景も非常に丁寧に描き込まれ、テレビアニメの雰囲気が忠実に再現されている。悟空をはじめとするキャラクタの絵柄も愛嬌があってほのぼのとしており、やられ役の雑魚キャラも何だかかわいい。キャラクタのモーションも実にいい。親友クリリン、最近影が薄いヤムチャや天津飯、殺し屋の桃白白、亀仙人の仮の姿であるジャッキー・チュン、そして最後の宿敵ピッコロ大魔王に至るまで、タイマンバトルでのライバルたちの生き生きとした動きにはうならされる。特に、ピッコロ大魔王の手足の長さを生かした鬼神のような戦いっぷりは本当にカッコよかった。 ボス戦に至るまでの道中の横スクロールアクション部分は、正直ちょっと単調ではあるけれども、ボタン連打攻撃+溜め攻撃(かめはめ波)でサクサクと気持よく進むことができるのがいい。ボタンを適当に押してるだけで色々な技が出るのもありがたいところである。また、筋斗雲に乗って空中で戦うシーンも要所要所で登場する。もちろん筋斗雲が飛ぶときのあの音もちゃんと再現されている。 タイマンバトルモードは、『ストII』以降の格闘ゲームのルールをユルくしたような内容である。このモードでは両者にガードゲージがあり、攻撃を続けることでこれをゼロにするとガードが崩れ、そこにラッシュを入れて空中に浮かせてコンボを入れる、というのが基本的なシステムである。必殺技ゲージが溜まるとかめはめ波も撃つことができる。同社の3D版『ドラゴンボールZ』シリーズに比べれば非常に大味ではあるが、私はガチの2D格闘を求めているわけではないし、このゲームの全体的な流れから考えてもこれぐらいの内容がちょうどいいと思う。 ストーリーは全体的にかなり端折られており、そっけないぐらい淡々と進行していく。天下一武道会や占いばばあの所の対戦相手は何だかちょっと少ないし、個々の戦いの細かい応酬もばっさり省略されている。ゲームそのものの欠点ではないが、ちょっと残念。たとえば悟空がピッコロ大魔王の目レーザーで両足と片手を焼かれる場面などが完全に再現されてたら涙もんだろうなあと思った。ただ、そこまで偏執狂的に原作を再現しなかったところが、逆にこの作品の良さでもあると思う。どのゲームとは言わないが、最近の版権ゲームの中にはあまりにも原作への愛やらオマージュやらリスペクトやらを過剰に捧げすぎて、正直ついていけないものがいくつかあったからである。本作品は、ほのぼのしていて愉快で痛快な少年マンガだった頃の「ドラゴンボール」をサクサクと手軽に追体験するためのツールとして、非常に完成度の高い物件であると思った次第である。 いやー本当に面白かった。私の心のわだかまりは、これで完全に晴らされた。あの伝説の駄作からかれこれ20年、少年悟空の復活を待った甲斐があったというものである。あと、これはネタバレかもしれないけど、オープニングの曲が「摩訶不思議アドベンチャー!」だったのでまさかと思ったら、エンディングはやっぱり「ロマンティックあげるよ」だった。ナイス選曲。全然関係ないけど、「サイヤ人」は英語だと「saiyan」なのね。さいやん。関西風である。 (モリサワジュン)
(c)バードスタジオ/集英社・東映アニメーション
【関連リンク】(c)BANPRESTO 2004 ●【12%OFF!】GBA『ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー』(amazon.co.jp) ●バンプレスト『ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー』公式サイト ●株式会社ディンプス | ||||||
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