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[No.0432] 2005/9/7
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POP-SITE音楽批評
エマーソン、レイク&パーマー
『Toccata』

Screamer


連載「エサ箱日誌」第78回のスタート!

9月某日
先日、ボブ・モーグ氏他界のニュースが、各メディアでトップニュースとして報じられた。

全世界、いや全人類に革命をもたらした夢の楽器、シンセサイザーを発明した人物である。

音楽はテクノロジーの進歩と同調するように進化を遂げてきたが、シンセサイザーの登場によって、特にロックにおいては、それまで日陰の存在だったキーボーディストがギタリストと同格、あるいはそれ以上の位置に格上げになるという、バンドのフォーメーションに大きな影響を与えた。

モーグシンセイサイザー(僕らの世代は、ムーグシンセサイザーと呼んでいた)をスタジオに導入し、レコーディングに使用した例として最も有名なのは、ビートルズのアルバム『Abbey Road』。『Maxwell's Silver Hammer』や『Because』ではブラス風の音、『I Want You (She's So Heavy)』では不気味なノイズの音を聴くことができる。

モーグシンセイサイザーは、温度や湿度によって動作が不安定になることが多く、ステージ上での使用は想定の範囲外だったが、果敢に挑んだのが、エマーソン、レイク&パーマーの実質的なリーダーのキース・エマーソンだった。

映画「モーグ」にも出演していたが、箪笥のような巨大なシンセサイザーを持ちこみ、1972年には台風の中、後楽園球場(現在の東京ドーム)でもコンサートを行なっている。

モーグ氏は彼の全面的なサポートを行いながら、開発中のプロトタイプのシンセイサイザーを提供した。それによってモーグシンセサイザーは実践で鍛えられ、さらに飛躍的は進歩を遂げていく。

特に、当時のモーグシンセサイザーは和音が出なかった(「ドミソ」と和音を押えても「ド」の音しか出ない)が、今回紹介する彼らの米国公演を収録した海賊盤では、試験的に導入された、和音が出るシンセサイザーが使用されている。この和音がでるシンセサイザーは、後に「ポリモーグ」として商品化され、初期YMOがメイン機材として使用することになる。

また、シンセサイザーはキーボードだけにとどまらず、この海賊盤では、ドラム用に開発されたモーグシンセサイザーの音も聴くことができる。

1980年代になると、日本製の安価で秀逸なシンセサイザーが市場を席巻し、モーグシンセサイザーは過去の遺物と化してしまう。しかし今でもマニアには圧倒的な人気があり、モーグの名は永遠に受け継がれていくだろう。

ご冥福をお祈りしたい。

収録曲

Live at Civic Center, Providence, RI July 29, 1974

Disc 1

  1. Hoedown
  2. Jerusalem
  3. Toccata
  4. Tarkus
  5. Take a Pebble
  6. Still..You Turn Me On
  7. Lucky Man
  8. Piano Improvisations

Disc 2
  1. Take A Pebble
  2. Karn Evil 9 (1st Impression)
  3. Karn Evil 9 (2nd Impression)
  4. Karn Evil 9 (3rd Impression)
  5. Pictures At An Exhibition


(文=フィオナ林檎)


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