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POP-SITE音楽批評
ビートルズ
『Let It Be』



連載「エサ箱日誌」第82回のスタート!

10月某日

もうすぐ冬を迎えるというのに、ずいぶんと遅くなってしまった夏期休暇を利用して、アジアのT国へ旅行。そのT国は、ブランド品の精巧な模造品から始まり、マイクロソフト社やアドビ・システムズ社などのパソコン用ソフト、そしてmp3化されたアルバム10枚分が1枚に収録されたCD-Rなど、様々な「海賊版」が街中で堂々と売られている。

数年前にT国に行った時、映像系の海賊版と言えば「Video CD」が主流だったんだけど、やはり時代の流れか、店頭には「DVD」も相当な数が並んでいた。その多くは米国の映画やテレビドラマで、おなじみの『24』の最新シーズンなども当然ながら売られていた。

だけど、こうしたDVDの海賊版は、音声や字幕メニューに日本語は含まれていないことが多い。また、アジアの大部分の地域は、日本と放送形式が異なる「PAL」方式(ちなみに日本は「NTSC」方式)。ちなみにT国も「PAL」方式なので、店頭で売られている 海賊版はもちろん「PAL」方式となっている、従って、パソコンのDVDドライブで見ることは可能だけど、日本の一般的なDVDプレーヤーでは再生することができない。

映画のDVDは日本語メニューがないという致命的な欠点のために購入は見送り。で、店内をブラブラとチェックしていたら、かなりの種類の音楽DVDの海賊版も取り扱っていた。

どれも市販DVDをそのままコピーしたものばかりだったけど、その中にビートルズの映画『Let It Be』があるのを見つけた。

この『Let It Be』は、アルバム『Get Back』の制作課程を追ったドキュメンタリー映画。『Get Back』はお蔵入りしたものの、1970年になって同名映画のサントラ盤『Let It Be』として、ようやく発売。そして2003年には『Let It Be... Naked』として、大幅なリニューアルが施されてのリリースが実現した。

で、映画『Let It Be』はと言うと、おそらく1970年代にビデオが発売されたと思う。その後、1980年代にレーザーディスクが米国で発売されたけど、すぐに回収されてしまった。それを最後に、長らく廃盤状態が続いている。

この映画のDVD化を待ち望んでいるファンは多いけど、ビートルズのコアなファン以外は退屈に感じるんじゃないかな。モチベーションの低いレコーディングセッション、メンバー同士のケンカなど、解散寸前の最悪なバンド内の様子を延々と見せられる。ハイライトは、当時のビートルズの事務所が入っていたビル屋上でのゲリラライブかな。

T国店頭で見つけた映画『Let It Be』は、おそらく以前市販されていたビデオあるいはレーザーディスクをDVDにコピーしたものだと思う。字幕はないけど画質は極めて良好。公式発売される噂もあるが、まあこれで満足かな。ちなみに、このT国製DVDがヤフオクで2000円くらいで売られているらしいけど、T国店頭価格は日本円に換算して300円。



(文=フィオナ林檎)


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