3月某日 2006年、いよいよ西新宿の海賊盤街も正念場を迎えることになりそうだ。 これまで非合法な音源や映像を入手しようとした場合、西新宿の海賊盤店で購入するか、あるいはマニア間でCD-RやDVD-Rを郵送でやり取りする以外に方法はなかったのだが、昨年あたりから、P2P系クライアントソフトを利用したファイル交換が活発になってきたことは、このコラムでも何度も伝えてきた。 ただ、ファイル交換ソフトに流通しているものは、比較的入手が容易で誰もが所有しているような、マニア度の低いものが多かった。だけど今年に入ってから、西新宿で店頭に並んだばかりの数万円もする海賊盤の新商品が、数日以内にはファイル交換ソフトで簡単に入手できたり、ディープなマニアでさえも所有していなかったような、激レアな音源や映像がかなり流通するようになってきた。 本来、西新宿の海賊盤業者は、入手困難で珍しい音源を発掘することに存在意義があったわけだけど、最近はファイル交換ソフトで入手した音源をCD-Rに焼き付けて販売するという、非常に安易で短絡的な傾向が目立つ。 さて冒頭に「今年が正念場」と書いたけど、西新宿の海賊盤街を叩きつぶすのではないかと予感させるような音源が、この1月にファイル交換ソフトを経由して一気に広まった。1969年のベルギーで行なわれたアムジー・ポップフェスティバルにおける、ピンク・フロイドとフランク・ザッパの共演の模様を収録した音源がそれだ。 これまで、その存在すら否定され続けていたもので、サザビーのオークションに出品されてもおかしくない歴史的価値の非常に高い音源だ。それが、ファイル交換ソフトでいとも簡単に入手できるわけだから、西新宿の海賊盤街に与える衝撃がどれほど大きいかは想像に難くない。 西新宿の業者の一つは、この音源を購入特典として無料配布していたが、彼らにできることはそれが精いっぱいだった。他にもキング・クリムゾンの1973年のニューヨーク公演を収録した画質最高の16ミリフィルムなど、マニアを狂喜乱舞させるブツが続々とファイル交換ソフトで入手可能だ。西新宿の今後の行く末を見守りたい。 収録曲