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何だかやけに陰気で悲しい『MOTHER3』の物語に、そろそろみんなが落ち込んでいるであろう今日このごろ。沈んだ気分を盛り上げるために『テトリスDS』を購入したいという気持ちもわからないではないが、そんな安易な心構えで『テトリスDS』をプレイしない方が良さそうである。以前、私はここで『マリオカートDS』について「テトリス並みの“労働効率破壊兵器”だ」と書いたが、この『テトリスDS』の中毒性は『マリオカートDS』を軽く上回っている。これを一旦始めてしまったら最早何一つ手に付かなくなるだろう。仕事がどんどんたまり、勉強がおろそかになり、どうぶつの森には雑草がボーボー生えて家にゴキブリが住み着き、柴犬やチワワは絶食状態になって家出をし、暇をもてあました川島教授はふて寝を決め込むことであろう。それなりの覚悟がなければ、今回の『テトリスDS』は買わない方が無難。とりあえず『MOTHER3』を終わらせることに専念すべきである。 各種媒体に掲載されている『テトリスDS』の映像や画面写真を見た限りでは、もう『テトリス』は飽きたよとか、任天堂キャラでデコレーションしただけじゃんとか、そう思い込んでしまうのもむべなるかなであるが、今回の『テトリスDS』には以下のような特徴があり、過去の『テトリス』を洗練させつつボリュームもアップした見事な作品となっているのである。
1. 任天堂キャラでデコレーションゲーム中の至るところに、『スーパーマリオブラザーズ』『ゼルダの伝説』『バルーンファイト』『メトロイド』といったファミコン時代の任天堂作品のキャラクターやアートワークがあしらわれている。また、消したラインの数に応じて、上画面に表示されているゲームがどんどん勝手に展開していくのも面白い。とても見てるヒマないんだけど(最後はかなり意外なゲームが出てくるのでぜひ見て頂きたい)。ブロックを回したり置いたり消したりする時の音には、ファミコン版『マリオ』そのまんまの効果音が使われているし、何と言ってもファミコン版『マリオ』や『ゼルダ』や『メトロイド』などをアレンジされた楽曲がBGMとして流れているのが泣かせる。いわゆるサウンドテストモードが用意されているのも嬉しいところである。
2. 『テトリス』ライクなゲームを多数収録
ベーシックな『テトリス』である「スタンダード」モード以外にも、相手と陣地争いをする「プッシュ」、山崩しみたいな「タッチ」、詰めテトリス風の「パズル」、指定された消し方をクリアする「ミッション」、降ってくるブロックをコアにくっつけて消す「キャッチ」という6種類のゲームが収録されている。どれも非常に奥が深く、やり込みがいのあるものが揃っている。『テトリス』のルールに準拠しているものとそうでないものがあるんだけど、かつて版権やパテントの絡みでどうしても『テトリス』を開発・リリースできなかった各社から、苦し紛れのブロックゲーがいっぱい出てきたことを、30歳以上のゲーム好きなら思い出さずにはいられないだろう。『クォース』とか、『フラッシュポイント』とか。
3. DSワイヤレス通信対戦・Wi-Fi対戦に対応
DSを持ち寄って対戦する場合は最大10人(もちろんソフトは1枚でOK)、Wi-Fi経由の場合は最大4人で対戦することができる。DSワイヤレス通信対戦では、チームを組んだりハンデを設定したりすることも可能。対戦中は、上画面に他のプレイヤー全員の画面が縮小表示されるのが壮観。とても見てるヒマないんだけど。なお、対戦中に負けてしまっても、決着がつくまで引き続きプレイを継続することが可能になっており(『マリオカートDS』のバトルモードみたいな感じ)、真剣勝負にアイテムで水を差すこともできる。
4. 対戦ではアイテムが使える
対戦中、「?」マークのついたブロックを消去すると、アイテムを入手することができる。基本的に『マリオカートDS』に準じた呼称が付けられており、効果や使いどころはとてもわかりやすい。他のプレイヤーのブロックの落下速度を上げたり、回転を禁止したりする攻撃アイテムはもちろんのこと、一定時間無敵になって自分の画面に「□□□□」ブロックだけしか落ちてこなくなるアイテムもある(もちろん「スター」)。ゲームの展開にかなり影響を及ぼすので、テクニック勝負がお好みならアイテムをOFFにすることもできる。
5. 基本的なシステムの変更・改良
最も標準的な『テトリス』と思われるゲームボーイ版『テトリス』と比較すると、いくつか細かい部分に変更が加わっている。まず、一度落下したブロックは回転させ続けることで一定時間動かすことができる。これにより、うっかり間違った場所にブロックを落としてしまっても多少はフォローが効くようになり、ブロックが超高速落下する状況(いわゆる「20G」)でもブロックの操作が可能となっている。そして、Rボタン(またはLボタン)を押すことにより、落下中のブロックを一つだけキープしておける「ホールド」機能が付いた。「□□□□」の使い道がない時にとりあえずキープしておいたり、どこに置いても隙間ができそうなブロックが落ちてきた時にいちかばちかRボタンを押して次のブロックに望みを託したりと、様々な局面で活用できる。さらに、控えの落下予定ブロックが6個表示されていたり、落下地点にブロックの影が表示されたりと、細かい部分のチューンナップが多々行われている。全体的に、アリカの『テトリス ザ・グランドマスター』シリーズからの影響を強く受けていると思われ、ゲームボーイ版とは程遠いモダンな内容となっている。
ぱっと見は1)や2)に目が行きがちだが、実は5)が最も重要なポイントである。このモダンなシステムの導入により、『テトリス』マニアも納得のテクニカルなプレイが楽しめるようになった。このシステムで対戦すると必然的に熟練者と初心者の格差がやたらと開いてしまうが、この差を埋めるために4)のアイテムが非常に有効に機能している。このへんは『マリオカート』におけるアイテムの意味にとても近い。もちろん基本的には『テトリス』なので、普通にブロックを消しているだけでも楽しい。「やったー4列消せたよー!」と大喜びする初心者プレイから、出現して瞬時に落ちてくるブロックを回転移動で必死にさばく高難度プレイまで、間口の広さは久屋大通並み。1)によるグラフィックの楽しさとも相まって、あらゆる世代・あらゆる習熟度のプレイヤーが楽しく遊べる仕上がりとなっている。見た目は可愛くて気楽な感じだが、中身は非常に本格的。ここ10年の『テトリス』をよく研究して作られてるな、と感じた。ある意味「集大成」と呼べるかもしれない。 率直に言って、プレイする前はもう今さら『テトリス』じゃないだろうと思っていたんだけど、まさかこんなに『テトリス』で面白がれるとは思わなかった。任天堂キャラによる派手で楽しい演出と、操作面での細かいチューンナップが施され、さらにワイヤレス対戦が加わったことにより、『テトリスDS』は過去の『テトリス』とは一線を画するすごいゲームとなった。多数収録された様々なバリエーションのゲームも非常に質が高くて面白いものばかりである。これが3,800円ってどういうことなんだろう。15年ぐらい前に買ったスーファミ版『スーパーテトリス2+ボンブリス』は、ゲーム2種類で2人対戦しかできなかったっていうのに確か9,000円ぐらいだったんだぞ。誰に怒ってんだ。 個人的には、『ストリートファイターII』以来久々の対戦ブームが到来している感じだ。DS本体を5台所持している我が家(下が5歳、上が65歳。年の差60歳)では、『テトリスDS』が発売されてからというもの、毎晩夕食後は家族総出で回したり落としたり消したりの大騒ぎ。もちろんアイテムはONだ。アイテムは威力がでっかいので一発逆転もあり、けっこうテトリス慣れした私や姉を差し置いて10歳の甥っ子(今回が初テトリス)が勝つこともある。ソフトも計2本購入し、各自の練習にも余念がない。 そんなわけで、『テトリスDS』の到来によりさらなる盛り上がりを見せている我が家のDSブームであるが、DSが我が家にやって来る前は夕食後の楽しみだったトランプの出番がすっかりなくなってしまい、ちょっと悲しい今日この頃だ。
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