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[No.0471] 2006/6/7
No.0470「連載「エサ箱日誌」第97回」へNo.0472「連載「エサ箱日誌」第97回」へ

POP-SITEゲーム批評
4人で大興奮、1人で辟易。
傑作FPS『メトロイド プライム ハンターズ』


■任天堂■DS■2006年6月1日発売■ファースト・パーソン・シューテイング■4,800円(税込)■1〜4人用■★★★★

今回は、任天堂のDS用ソフト『メトロイド プライム ハンターズ』について書かせて頂こうと思う。

この『ハンターズ』は、1986年にファミコンのディスクシステム用ソフトとして発売された2Dアクションゲーム『メトロイド』のシリーズ最新作となる。『メトロイド』シリーズには、縦横スクロールによる2Dアクション型の作品(ファミコン版、ゲームボーイ版、スーファミ版、GBA版)と、一人称視点の3DグラフィックによるFPS(一人称シューティング)型の作品(ゲームキューブ版)が存在しており、今回の『ハンターズ』は後者のFPS型にあたる。

まず結論から書かせて頂くと、「FPSとしては星5つ、でもアドベンチャーモード(一人プレイモード)は星3つ」である。従って、(5 + 3) / 2=星4つとさせて頂いた。

本作品をニンテンドーDS用のFPSとして見た場合、フレームレートの低さ(おそらく20fps程度)以外は目立った欠点のない、実に面白く充実した内容となっている。私は、最後にプレイしたパソコン用のFPSが2002年の『Return To Castle Wolfenstein』であり、最新のFPS事情を全然知らないせいもあるのかもしれないが、ニンテンドーDSという比較的非力なハード上で『ハンターズ』は実に立派な仕上がりを見せていると思った。

マルチプレイモード(対戦FPSモード)では、最大4人での対戦が可能となっており、DSを持ち寄っての対戦と、ニンテンドーWi-Fiコネクションによる対戦が用意されている。

最も特徴的なのは、プレイヤーキャラクタを選択できるという点である。画面をズームして遠距離から狙撃することができるキャラクタから、近距離での格闘時に有利な能力を持っているキャラクタまで、実に多彩で個性的なキャラクターが用意されている。シリーズの主人公であるサムスは、中立で平均的な能力のキャラクタという位置づけとなっている。

普通のFPSと違って変形状態による接近戦ができるのも、『ハンターズ』ならではの面白さの一つであろう。キャラクタによって変形状態の性能は大きく異なっており、中には上半身と下半身が分離してサーベルと固定砲台で別々に攻撃できるキャラクタなんてのもいる。

標準時の操作は「十字キーで移動、タッチペンで視点・照準移動」となっており、これが実にしっくり来る(タッチペンを使わない操作設定も用意されている)。FPSの経験がない人でもしばらくプレイしていれば徐々に慣れていくはずだし、パソコンのFPSにおける典型的な操作(WASDキーで移動、マウスで視点・照準移動)に慣れていれば、ほとんど違和感なくプレイできるはずである。

ただ、十字キーで移動しながらLボタンで弾を撃つのはかなりしんどい。右手はタッチペンを持っているから、左手だけでDSを支えなければならず、その上十字キーを押してLボタンも押して、ってのは結構な負担である。Lボタンだけでなく、画面タッチでも弾が発射できるようにしても良かったのではないだろうか。

グラフィックは、ゲームキューブ版に比べると画質やフレームレートはかなり落ちるものの、テクスチャや半透明機能がうまく使われており、DSとしては十分きれいだし、対戦プレイならこれで十分である。特に炎の描写は、おそらくスプライトをパーティクル的に使っており、けっこうインパクトがある表現となっている。

我が家では、いまや『テトリスDS』とこの『ハンターズ』が対戦ゲームのツートップとなっている。「十字キーで移動、タッチパネルで視点・照準移動」という操作にも、うちの小学生の甥っ子たちはすぐに慣れたようである。ニンテンドーWi--Fiコネクション経由での対戦も、実力がある程度伯仲していれば(なおかつ、いきなり接続を切断するような相手じゃなければ)実に面白い。3人をCPUに担当させての4人対戦で練習を積んでおくことも可能である。対戦FPSとしての完成度は非常に高いので、周りに対戦相手がいれば特におすすめできる逸品だ。

しかし、残念ながら一人プレイモードである「アドベンチャーモード」があんまり面白いとは思えなかった。任天堂らしからぬ、そしてメトロイドシリーズらしからぬ凡作であると感じた。正直、「このアドベンチャーモードなしでもっと価格を下げて欲しかった」とさえ思う。

このアドベンチャーモードをプレイしていて思い出したのが、『ブロックアウト』(1989年)である。『テトリス』を3D化すればさぞかし面白くなるだろう、というスケベ心が透けて見える『ブロックアウト』であるが、実際にプレイしてみるとあんまり面白くはなく、『テトリス』の方がずっと面白かった。3D化した外見は確かにインパクトはあったが、空間軸がひとつ増えることによるユーザーの負担は大きくなり(ブロックを回転させるボタンも、X・Y・Z軸用で合計3つもあった)、その負担に見合った面白さが残念ながら『ブロックアウト』には無かった。この『ブロックアウト』のジレンマが、この『ハンターズ』にもそのまま当てはまっているように思える。

2Dアクションゲームである初代『メトロイド』における、例えば「広大なマップを、隠された抜け道やボスを探して右往左往する」「足場から足場へジャンプを繰り返して目的地へ向かう」といった要素は、今回の『ハンターズ』にも受け継がれているが、3Dになった事で各要素の難解さが増しただけで、面白さにはまったく貢献していないと感じた。まさに『ブロックアウト』で私が感じた事とまったく同じである。

さらに、この『ハンターズ』は一見するとゲームキューブ版『メトロイド プライム』と同じように見えるが、今回は対戦FPSありきのシステムとなっているためか、『メトロイド プライム』と比べると特殊装備はかなり減っており(グラップリングビームなど多数の装備が今回は無し)、その分攻略が単調となってしまっている。ボスキャラクタも使い回しが多く、何度も何度も同じボス(ビームや動作が微妙に違う)を倒さなければならない。ゲーム展開もワンパターンで、道中→ボス攻略→ステージ自爆カウントダウン→脱出、という流れを何度も何度も繰り返すことになる。これらの簡素化・単純化により、前述の『ブロックアウト』のジレンマがクッションなしで直接伝わってくる。これが本当につらい。

私は初代『メトロイド』が大好きで、ある時期には毎日1回クリアするほどやり込んでいた。この作品の持つ独特な難解さと、それを克服した時のカタルシスにすっかりハマり、以後のシリーズ全作品をプレイしているが、この『ハンターズ』のアドベンチャーモードの出来だけは納得がいかない。同じく、DSの派生作品『メトロイド プライム ピンボール』にも私は失望した。DSに特化した素晴らしい内容で華麗にDSデビューを飾ったマリオゼルダ(ゼルダはまだ出てないけど)に比べて、メトロイドシリーズの扱いは少々ぞんざいなのではなかろうか。

確かに本作の対戦FPSモードは非常に面白いが、メトロイドシリーズのDSデビューは『New スーパーマリオブラザーズ』のような2.5Dスタイルの方が良かった。もし任天堂が「DSのラインナップとして対戦FPSを入れる必要がある」と判断したんだとしたら、ニンテンドウ64の傑作バカFPS『ゴールデンアイ 007』を完全移植してくれた方がずっと有り難かった。今からでも遅くないから、リリースしてもらえないだろうか『ゴールデンアイ』。撃ちたいなー、バズーカ。振り下ろしたいなー、チョップ。

(モリサワジュン)


メトロイド プライム ハンターズ

任天堂/Nintendo DS
価格:¥4,080 (税込)
OFF:¥720 (15%)

metroid.jp

http://metroid.jp/



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