6月某日 レコードコレクター誌でアルファ・レコードの連載が始まった。アルファ・レコードと言えば、古くは荒井由美(現在の松任谷由美)、そしてYMOやカシオペアなどを輩出した伝説のレコード・レーベルだ。 アルファ・レコード自慢の「スタジオA」と呼ばれるスタジオは、数々のレコーディングが行われて、名盤を生んだわけだけど、田町駅前にあった伝説のスタジオは数年前に取り壊されてしまった。 20年ほど前のレコーディングでは、様々な機器だけでなく、スタジオ自体が共鳴することによる「ハコ鳴り」や、スタジオ・エンジニアによるマイクなどのセッティングによって、アーティストが求める音に近づける努力が行われていたのである。耳の肥えた人は、レコードの音を聴いただけで、どこのスタジオでレコーディングされたものか判ったらしい。こうしたレコーディングの手法は、1960年代にビートルズを支えたアビーロード・スタジオのエンジニア達によって確立されている。 最近のレコーディングは、パソコンのハードディスク上で行われる。パソコンでのレコーディングは音質の劣化がなく、しかも6畳一間のじめじめした和室の部屋でも、高音質のレコーディングが可能で、レコーディングにかかるコストが圧倒的に安い。また、以前なら数十万円もするような機器がなければ出せなかったような音を、いとも簡単に得ることができる。その反面、みな同じ専用ソフトを使用してレコーディングしているため、完成された音は似通った音になる傾向が強い。 今回紹介する『KYLYN』は、ギタリストの渡辺香津美をリーダーとするユニット。坂本龍一や村上秀一などの若手ミュージシャンが参加し、当時流行していたジャンル「フュージョン」を代表する傑作アルバムを作り上げてしまった。 このアルバムはコロンビア・レコードが制作したものだけど、日本でもクオリティの高いレコーディングができることを証明した記念碑的なアルバム。坂本龍一がプロデュースして、楽曲自体のクオリティも非常に高い。つい最近になって、ファン待望のリマスタリング仕様のCDがリリースされた。傑作レコーディングをぜひ堪能してみてほしい(文=ふぃおな林檎) ●KYLYNのCDをAmazon.co.jpで購入する KYLYN ※紙ジャケット仕様 ●KYLYNのCDをAmazon.co.jpで購入する KYLYN LIVE ※紙ジャケット仕様