皆さんはもう見ましたか、『極魔界村』のムービー。私の生活には無くても一切差し支えのなかったPSPであるが、遅まきながらあのムービーを見た瞬間に状況は一変した。『マキシモ』と違って今回はばっちり2.5D(横スクロールだけど絵は3D)。内容は面白そうだし絵はものすごいことになってるし、もう絶対買う。PSPと一緒に買う。個人的には『New スーパーマリオ』よりもこっちの方が嬉しいっす。が、しかし。巷では「PSP2」の4文字を時折目にしたりする今日このごろ。いま初代PSPを買うってどうなんだろう。とりあえず『極魔界村』発売の8月までPSP本体購入を先送りにすることにしたが、9月に「2GBのフラッシュメモリ入りで2万円のPSP」とか「タッチパネル付き2画面付きモーションセンサー付きPSP」が出ちゃったらどうしよう。ま、そんなこと言ってたらゲーム機なんていつまで経っても買えないんだけど。
そんな事はさておき、今回ご紹介させて頂きたいのは、「末弥純画集 ウィザードリィ」である。本書は、米国産の人気RPG『ウィザードリィ』シリーズの日本語版のアートワークを集めたもので、著者はイラストレーターの末弥純先生である。
米国で1981年に発売された『ウィザードリィ』の1作目が日本語版で登場したのは1985年のことだった。米国における『ウィザードリィ』は、「テーブルトークRPG」+「指輪物語」+「神話のパロディ」+「モンティ・パイソン」という特異で何でもありな内容が一部の熱狂的なマニアにウケたと思われるが、これらの要素がどれ一つとして定着していなかった日本において『ウィザードリィ』が成功したのは、その後1987年に登場したファミコン版の素晴らしい出来映えと、このファミコン版における末弥氏の華麗でシリアスな絵の力があったからである(米国および日本のパソコン版のグラフィックは非常にシンプルで記号的だった)。
末弥氏の絵には、テーブルトークRPGや「指輪物語」や各種神話に対するリテラシー不足を補い、日本に『ウィザードリィ』の普及を促すための強い魅力と説得力があったのである。ただ、「モンティ・パイソン」がらみのギャグに関してはさすがに正しい翻訳が出来なかったみたいだけど(私も最近知った)。
日本で『ウィザードリィ』が登場した1985年は、奇しくもイラストレーターのあきまん氏がカプコンに入社した年であり、東映動画で高畑勲氏と同期であったアニメーターの小田部羊一氏が任天堂に入社した年でもある。ゲーム開発者たちは、モニターに映る粗いドット絵に収まりきれないスケールの世界やキャラクターを描き出そうとしていたのである。
収まりきれずに具象化されなかった部分を、我々プレイヤーは「想像力」によって補った。なぜ我々が『ウィザードリィ』に特別な思いを持ち続けているのかというと、「想像力を駆使して遊んだ」からでないか、と私は思う。もし初代『ウィザードリィ』がフルポリゴン+ハイデフ+5.1chサラウンドの3DRPGだったら、我々はここまで『ウィザードリィ』に愛着を抱き続けていただろうか?
そして、我々の想像力を補強し、ゲームの世界への橋渡しをしてくれたのが、末弥氏の素晴らしいアートワークだった。残念ながら本書では初代『ウィザードリィ』に登場するモンスターは収録されていないが、5作目以降のモンスターイラストやスケッチ画、1980〜2000年代の雑誌広告や特集記事、パッケージの挿画など、素晴らしい作品が多数掲載されており、非常に見応えのある一冊となっている。心当たりのある方は、絶版になってプレミアが付く前にさっさと買ってしまった方が良さそうである。かつてアスキーのログイン誌で見た、竜の鋳物が乗っかっている兜をかぶった騎士(「ウィザードリィRPG」のパッケージ画)をもう一度拝めただけで私は満足でした。
(モリサワジュン)