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POP-SITE音楽批評
ロジャー・ウォーターズ
『ベルリン 2006』



連載「エサ箱日誌」第99回のスタート!

6月某日
昨年夏に行なわれた「Live 8」は、ピンクフロイドの再結成が話題を独占した。その後も彼らが継続して活動していくことをファンは期待していたけど、それは幻となりそうだ。

そもそも、ピンクフロイドのメンバーが分裂した経緯はこうだ。中心人物のロジャー・ウォーターズが、1986年にバンドの脱退を表明。ここまではよくある脱退劇だけど、ロジャー・ウォーターズは、残されたメンバーに対して、ピンクフロイドの名を語って活動していくことを禁じる条件を突き付けたのである。

しかしながら、残されたメンバーはピンクフロイドとして活動していくことを表明したことで、ついに法廷にまで持ち込まれることになったのである。以来20年もの間、残党によるピンクフロイド、そしてソロ活動の道を選んだロジャー・ウォーターズは、互いに歩み寄ることは決してなかった。

この闘争によって、ファンまでも二分してしまったが、旧来からのファンは、セールス的には失敗が続いたものの、ロジャー・ウォーターズを支持していたのである。そして、ピンクフロイドの名を語ってはいるものの、凡庸な楽曲を垂れ流す残党たちを徹底的に侮蔑してきたのである。

「Live 8」以降、残党によるピンクフロイドを仕切っていたデイブ・ギルモアは、新作アルバムをリリースし、ソロツアーも開始。それに刺激されたロジャー・ウォーターズもソロツアーを開始したが、ステージの第2部で、20世紀のロックの超名盤の一つ、『Dark Side Of The Moon』を完全に再演してしまった。

このソロツアーの模様は、客席から隠し録りされながらも、非常に素晴らしい音質で収録された音源が、ネットからダウンロードできる。長年ピンクフロイドのリードボーカルを務めてきたデイブ・ギルモアとは似ても似つかぬボーカルが厳しいが、アルバムを完璧に再現しているのは見事だ。

これは、残党らとの永遠の決別を意味していると思われる。非常に残念なことではあるけど、一生何不自由なく暮らしていけるほど、莫大な財産を手にしたセレブなロックスターは、旧メンバーとの親交よりも体面が重要なようである。

(文=フィオナ林檎)

ロジャー・ウォーターズ
2006年6月8日 ベルリン公演での演奏曲目

  • In The Flesh
  • Mother
  • Set The Controls For The Heart Of The Sun
  • Shine On You Crazy Diamond
  • Have A Cigar
  • Wish You Were Here
  • Southampton Dock
  • The Fletcher Memorial Home
  • Perfect Sense
  • Introduction to 'Leaving Beirut'
  • Leaving Beirut
  • Sheep
  • Dark Side Of The Moon
  • Another Brick In The Wall
  • Vera
  • Comfortably Numb

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