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POP-SITEゲーム批評
日本人のリズム感、矯正します。
つんく♂プロデュース『リズム天国』



■任天堂■GBA■2006年8月3日発売■ノリ感ゲーム♪■3,800円(税込)■1人用■★★★★★

暑中お見舞い申し上げます。8月3日に途方も無い数のゲームソフトがリリースされて途方に暮れている皆様、いかがお過ごしでしょうか。私も類いに漏れずゲームソフトをいっぱい買ってしまい、その中の『極魔界村』について今回は何としても書きたかったのだが、難しくていまだにクリアできていない状態なので、今回はゲームボーイアドバンス用ソフト『リズム天国』について書かせて頂きたいと思う。いやー、いいっすよこれ。

本作品はあのつんく♂氏がプロデュースし(企画書もご自身で書かれたらしい)、『メイド イン ワリオ』のスタッフが開発を担当したという、まさにいわくつきのソフトである。

正直、私は『メイド イン ワリオ』シリーズがそろそろ息切れして来たな、と感じており、この作品にもあまり期待していなかったのであるが、さにあらず。底抜けに楽しくて、しかもわかりやすくて奥が深い、『メイド イン ワリオ』シリーズに勝るとも劣らぬ傑作であった。芸能人や著名人が参加・監修したソフトにろくなものがないことはゲーム史が証明しているわけだが、今回はまさに別格である。

『リズム天国』は、ミニゲームが大量に遊べる『メイド イン ワリオ』シリーズ(以下『ワリオ』)と、基本的に似通った内容・構成となっており、画面のアニメーションや音楽に合わせボタンを押して楽しむ多数のミニゲームを順にクリアしていく、というのが基本的な流れである。複数のゲームで構成される各ステージの最後には、ステージすべてのゲームが代わる代わる登場する「リミックス」が待っている。『ワリオ』のようなオマケ(リズムおもちゃ、スコアアタック型ゲームなど)も用意されている。

『ワリオ』との最大の違いは、「音楽ゲーム」であるという点だ。「5秒程度耐えれば強制クリア」だった『ワリオ』と違い、『リズム天国』はある一定時間流れる曲のリズムに乗りながらタイミング良くボタンを押したり離したりして、「ノリが良い」と判定されればクリアとなる。

ゲーム内容も、「リズムに乗る」というテーマですべてのゲームが統一されており、「何でもあり」だった『ワリオ』とは一線を画している。収録ゲーム数は『ワリオ』よりは少ないが、『ワリオ』シリーズに必ず入っていた一発ギャグ的なゲームは皆無で、どのゲームも非常に考え抜かれており、個々のクオリティは極めて高い。

また、「脳トレ」的にリズム感を測定して数値化するモード「リズム感チェック」も付いている。「脳トレ」と同じように、初回プレイ時は強制的に測定を行うことになり、その後も適宜リズム感を測定して上達具合をチェックできるようになっている。このリズム感チェックでリズム感の点数が上がるとけっこう嬉しいので、リズム感向上に励む人も多いのではなかろうか。各ゲーム終了後に表示される厳しいコメントといい、本作品には「本気でプレイヤーのリズム感を矯正する」という意図すら感じる。どうせなら、『大人の脳トレーニング』のように複数のプロファイルを保存できるようにしても良かったと思う。

本作品に収録されているミニゲームは、流れる曲のリズムに合わせてボタンを押し離ししたり、再生される一定の長さのリズムを暗記してその通りにボタンを押し離ししたりするゲームなど、全40種類以上。「よくこれだけのバリエーションを揃えたなあ」と感心させられることしきりである。どのゲームも実にシンプルだが、ゲームごとに別々のグラフィックやキャラクタが用意されている。

『ビートマニア』等の、曲に合わせて楽器を演奏するタイプの音楽ゲームでは、ギターやキーボードといった様々な楽器パートを一人で擬似的に演奏する(画面の指示に合わせてボタンを押す)という内容であることが多いが、本作『リズム天国』はあくまで「リズムに乗ってボタンを押す」というテーマで終始一貫している。

特定の楽器や音楽ジャンルに固執していないので、ゲーム内容もまったく音楽と関係のない、『ワリオ』でおなじみのデタラメで破天荒な世界観であることが多く、それもまた見物の一つである。『ビートマニア』『パラッパラッパー』『スペースチャンネル5』といった音楽ゲームのような「単一の世界観」は無く、絵柄や作風はゲームによってバラバラだ。『ワリオ』にすら存在していた仲間キャラや物語も、今回は一切ない。

一般に「音楽ゲーム」というと、音楽周辺のカルチャー(テクノであるとかヒップホップであるとかクラブであるとか……)を濃厚に反映させた物が多いが、本作にはそういった傾向は皆無。盆踊りだの花火だの野球だの忍者だのと、音楽とはまるで無関係なモチーフが大量に出てくる。この節操のないごった煮感は、まさに歌謡曲的である。ってちょっと無理あるか。

いずれのゲームも、「リズムに乗ることは気持ちがいい」という明確な思想に基づいて作られており、それ以外の余計な事(何発当てたらボスが死ぬとか、コンボを決めてボーナスとか)は考えなくてもいいように出来ている。画面にも、数値やインジケータのような表示はほとんど一切なく、誰でも簡単にプレイする事が可能だ。

ただし、本作品はクリアするだけならけっこう楽だが、高得点やパーフェクトを意識してプレイするようになると、これがまったく違うシビアなゲームと化す。むしろ、クリアしてからが本当の戦いの始まりと言えるかも知れない。

本作品の面白さは、「リズム感チェック」で表示される「音が消えるところは、心でカウントしてください」という一文に最も象徴的に表れている。本作品は、リズムを刻むメトロノーム的なガイド音や画面の動きに応じてボタンを押す事で進行するが、そのガイド音や画面の動きが途切れたり、音や画面が当てにならないような状況が発生するケースがあり、そんな場合でも「心でカウント」しながらリズムに合わせてボタンを押す必要があり、この「心でカウント」によるリズムの補完に成功した時に発生するカタルシスこそが、本作品のキモなのである。

音質は、ゲームボーイアドバンスにしてはかなり健闘している。たかが16MバイトのROMカートリッジなのに、音質はけっこう良い。フルボーカルの曲が流れるゲームもいくつか収録されており、「アドバンスだから音はショボい」という印象はまったく無かった。

プレイを続けるにつれて、『ワリオ』との違いがはっきりしてくる。たとえるならば、「5秒ルール」以外は何でもありの『メイド イン ワリオ』が「色んな駄菓子の詰め合わせ」(たまにハズレの駄菓子もある)だとすると、「リズムに乗る」事に徹底的にこだわった本作『リズム天国』は「すごくおいしくて味が違うチロルチョコの詰め合わせ」(ハズレ率きわめて低し)という感じがする。

そして何よりも、これほど気合いの入った面白いゲームソフトがゲームボーイアドバンスでリリースされたという事が一番嬉しい。いい具合に枯れた最後の2Dハードとして、アドバンスはもうしばらく市場で存命して頂きたいものである。

(モリサワジュン)


リズム天国

任天堂/GAMEBOY ADVANCE
価格:¥3,344 (税込)
OFF:¥456 (12%)

任天堂『リズム天国』製品情報

http://www.nintendo.co.jp/n08/brij/

ORICON STYLE 『リズム天国』つんく♂インタビュー(動画)

http://www.oricon.co.jp/pj/pj_rhythm/rhythm_10.html

1101.com 樹の上の秘密基地。『リズム天国』つんく♂インタビュー

http://www.1101.com/nintendo/rythm_heaven/index.html



(C)2006 Nintendo/J.P.ROOM




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